「水上温泉がやばいらしい」という噂を聞いたことはありませんか?群馬県みなかみ町にある水上温泉は、かつて多くの観光客で賑わった温泉地です。けれど最近では「廃墟のような建物が目立つ」「寂れている」といった声も耳にします。
実際のところ、水上温泉は今どんな状態なのでしょうか。確かに昭和の面影を残す風景がありますが、同時に新しい動きも生まれています。ここでは水上温泉の現状と、再生に向けた取り組みを紹介していきます。
水上温泉が「やばい」と言われる理由とは?
水上温泉を訪れた人が「やばい」と感じる背景には、いくつかの理由があります。この言葉にはネガティブな意味合いが含まれていることが多いですが、同時に独特の雰囲気に惹かれる人もいるようです。
1. 昭和の面影を残す温泉街の風景
温泉街を歩いていると、時が止まったような感覚になります。看板の色あせた旅館や、レトロな建築様式の建物が並んでいるのです。
昭和30年代から40年代に建てられた建物が多く残っているため、どこか懐かしさを感じる風景が広がっています。ノスタルジックな雰囲気を楽しめると考える人もいれば、古びた印象を受ける人もいるでしょう。
こうした風景は、全盛期の賑わいを知る人にとっては感慨深いものかもしれません。当時の華やかさを想像しながら歩くと、また違った景色に見えてきます。
2. 廃業した旅館が目立つ現状
温泉街を歩いていて目につくのが、営業を終えた旅館の建物です。窓が閉ざされたまま、人の気配のない大型施設がいくつも残っています。
バブル期には100軒以上の宿泊施設があったと言われていますが、現在営業しているのは30軒程度です。利用客の減少や施設の老朽化により、廃業を選んだ旅館が増えてしまいました。
- かつて賑わった大型ホテルの廃墟
- 営業していた頃の看板がそのまま残る建物
- 手入れされていない庭園や駐車場
空き家になった建物が並ぶ様子は、確かに寂しさを感じさせます。けれど逆に、この独特の雰囲気に魅力を感じる人も少なくありません。
3. ネット上で話題になった「廃墟感」
SNSや動画サイトで水上温泉の様子が取り上げられたことで、「やばい」という言葉が広まっていきました。特に廃業した旅館の外観が注目を集めたのです。
廃墟探索が好きな人たちの間では、水上温泉は「見応えのあるスポット」として知られています。ただし廃業した施設への無断立ち入りは法律違反ですから、外から眺めるだけにとどめるべきですよね。
こうした情報が拡散されたことで、水上温泉のイメージが固定化されてしまった面もあります。現在も営業している素敵な宿があることは、意外と知られていないかもしれません。
水上温泉が寂れてしまった背景
かつて関東有数の温泉地として栄えた水上温泉が、なぜ今のような状態になってしまったのでしょうか。その背景には時代の変化と、観光業界全体の構造的な問題がありました。
1. バブル崩壊後の観光客減少
1990年代初頭のバブル崩壊が、水上温泉に大きな打撃を与えました。景気後退により企業の慰安旅行が激減し、団体客が一気に減ってしまったのです。
それまでは大型バスで訪れる団体客が多く、週末は予約が取れないほどの人気でした。けれど経済環境の変化とともに、そうした賑わいは失われていきます。
宿泊客数のピークは1980年代後半で、その後は減少の一途をたどりました。収益が減った旅館は設備投資ができず、さらに競争力を失うという悪循環に陥ってしまいます。
2. 団体旅行から個人旅行への変化
旅行スタイルの変化も大きな要因です。かつては職場や町内会の団体旅行が主流でしたが、次第に家族や友人との小規模な旅行が中心になっていきました。
水上温泉の多くの旅館は、団体客を受け入れる大型施設として建てられています。広い宴会場や大浴場は魅力的ですが、個人旅行者にとっては使いづらい面もあったのです。
- 個室よりも団体部屋が多い間取り
- プライベート感が少ない大型施設
- 画一的なサービス内容
時代のニーズに合わせた施設改修には多額の資金が必要です。それができなかった旅館は、徐々に客足が遠のいていきました。
3. 設備の老朽化と後継者不足
建物の老朽化も深刻な問題でした。多くの旅館が建てられてから数十年が経過し、配管や電気設備の更新が必要になっています。
大規模な改修工事には数億円の費用がかかることもあります。将来の収益が見込めない状況では、そこまでの投資を決断するのは難しいですよね。
さらに経営者の高齢化と後継者不足が重なりました。子どもたちは都会で別の仕事に就いていて、旅館を継ぐ意思がないケースも多かったのです。こうした複合的な要因が重なり、廃業を選ぶ旅館が増えていきました。
今も営業している水上温泉のおすすめ宿
水上温泉には現在も魅力的な宿が営業しています。それぞれに個性があり、丁寧なおもてなしを受けられる宿ばかりです。
1. 水上館:大型温泉リゾートの代表格
水上温泉を代表する大型旅館として知られているのが水上館です。利根川沿いに建つ8階建ての建物は、温泉街のランドマークになっています。
館内には3つの大浴場があり、それぞれ異なる雰囲気を楽しめます。特に最上階の展望風呂からの眺めは素晴らしく、谷川岳の山並みを一望できるのです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 客室数 | 120室 |
| 泉質 | 単純温泉 |
| チェックイン | 15:00 |
| チェックアウト | 10:00 |
| 駐車場 | 無料(150台) |
食事は群馬の食材を使った会席料理が中心です。上州牛のステーキや地元野菜の天ぷらなど、季節ごとに内容が変わります。大型旅館ならではの安定したサービスが受けられるのも魅力ですよね。
2. 旅館たにがわ:アットホームなおもてなし
家族経営の温かみを感じられるのが旅館たにがわです。全16室という小規模な宿ですが、それだけにきめ細やかなサービスが行き届いています。
女将さん自らが出迎えてくれて、館内を案内してくれます。客室は落ち着いた和室が中心で、窓からは利根川の清流が見えるのです。
温泉は源泉かけ流しで、肌触りの柔らかいお湯が特徴です。貸切風呂もあるので、家族やカップルでゆっくり入浴できます。朝食には地元の農家から仕入れた野菜や、自家製の漬物が並びます。こういった細やかな心配りが嬉しいですよね。
3. 蛍雪の宿 尚文:料理自慢の老舗旅館
料理の評判が特に高いのが蛍雪の宿 尚文です。創業60年以上の歴史を持ち、地元食材を活かした創作料理が人気を集めています。
料理長が毎朝市場に足を運び、その日の良い食材を仕入れているそうです。季節の山菜や川魚、上州牛など群馬ならではの味覚が楽しめます。
- 春:山菜の天ぷらと岩魚の塩焼き
- 夏:鮎の塩焼きと夏野菜の煮浸し
- 秋:松茸の土瓶蒸しと栗ご飯
- 冬:上州牛のすき焼きと温野菜
客室は全12室で、どの部屋も清潔に保たれています。温泉は内湯と露天風呂があり、夜はライトアップされた庭園を眺めながら入浴できるのです。料理を目当てに訪れるリピーターも多いと聞きます。
4. 源泉湯の宿 松乃井:100%源泉かけ流し
温泉の質にこだわるなら源泉湯の宿 松乃井がおすすめです。自家源泉を持っていて、加水・加温なしの100%源泉かけ流しを楽しめます。
お湯の温度は源泉そのままの43度前後で、体の芯からじんわり温まります。泉質は単純温泉ですが、入浴後の肌のしっとり感が特徴的です。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 客室数 | 18室 |
| 泉質 | 単純温泉(源泉かけ流し) |
| 源泉温度 | 43度 |
| pH値 | 8.2(弱アルカリ性) |
| 日帰り入浴 | 可(11:00〜15:00、800円) |
館内は派手さはないものの、清潔で落ち着いた雰囲気です。客室からは諏訪峡の渓谷美が眺められて、四季折々の景色を楽しめます。温泉そのものを堪能したい人には最適な宿ですよね。
水上温泉の再生に向けた新しい動き
水上温泉では近年、再生に向けた様々な取り組みが始まっています。新しい発想で温泉街に活気を取り戻そうとする動きが出てきているのです。
1. 廃旅館をリノベーションした新施設
廃業した旅館の建物を活用する動きが注目されています。2023年には元ホテルをリノベーションした宿泊施設「MINAKAM STAY」がオープンしました。
古い建物の構造を活かしながら、内装は現代的なデザインに仕上げられています。個室とドミトリーの両方があり、バックパッカーや若い旅行者に人気です。
1階にはカフェスペースも併設されていて、宿泊者以外も利用できます。地元産のコーヒー豆を使ったドリンクや、手作りのスイーツが楽しめるのです。こうした新しい施設が増えることで、温泉街全体の雰囲気も変わってきています。
2. 若手経営者による新しい宿泊スタイル
都会から移住してきた若い経営者が、小規模な宿をオープンする例も増えています。従来の温泉旅館とは違うコンセプトで運営されているのです。
例えば2024年にオープンした「湯宿 空」は、全4室の小さな宿です。経営者は東京のIT企業で働いていた30代の夫婦で、自然豊かな環境での暮らしを求めて移住しました。
- 素泊まりプランを中心とした気軽な料金設定
- 共用キッチンで自炊も可能
- ワーケーション向けのWi-Fi完備
- アウトドアアクティビティの手配サービス
従来の旅館にはない柔軟なスタイルが、新しい客層を呼び込んでいます。長期滞在する人も増えていて、温泉街に新しい風を吹き込んでいるのです。
3. アウトドア・アクティビティとの連携
水上温泉の周辺は、ラフティングやキャニオニングなどアウトドアスポーツのメッカです。近年はこうしたアクティビティと温泉を組み合わせた楽しみ方が広がっています。
利根川でのラフティングを楽しんだ後、温泉で疲れを癒す――こんな過ごし方ができるのは水上温泉ならではですよね。アウトドア会社と旅館が提携したパッケージプランも登場しています。
冬にはスキー場へのアクセスも良好です。谷川岳天神平スキー場まで車で約20分、水上高原スキーリゾートまでは約30分で到着します。スキーやスノーボードを楽しんだ後、温泉でゆっくりできるのは最高の贅沢です。
水上温泉街の歩き方と周辺観光スポット
水上温泉を訪れたら、温泉街の散策や周辺の観光も楽しみたいものです。徒歩圏内にも見どころがいくつかあります。
1. 温泉街散策のモデルコース
温泉街の中心部は歩いて30分ほどで回れる広さです。利根川沿いの遊歩道を歩くと、川のせせらぎを聞きながら気持ちよく散策できます。
水上駅から温泉街まで続く道には、昭和レトロな建物が並んでいます。営業している店は少ないものの、当時の雰囲気を感じられるのです。
- 水上駅(スタート地点)
- 水上温泉街の中心部(所要20分)
- 諏訪峡遊歩道(所要30分)
- 水上駅(ゴール)
全体で1時間半から2時間のコースです。途中に休憩できるカフェもあるので、ゆっくり歩いてみてください。夕暮れ時の散策も雰囲気があっておすすめですよ。
2. 諏訪峡:絶景の渓谷美
水上温泉から徒歩10分ほどの場所にある諏訪峡は、利根川の清流が作り出した美しい渓谷です。遊歩道が整備されていて、気軽にハイキングが楽しめます。
春は新緑、秋は紅葉と四季折々の景色が素晴らしいのです。特に10月下旬から11月上旬の紅葉シーズンは見事で、多くの観光客が訪れます。
遊歩道の途中には吊り橋があり、橋の上から眺める渓谷美は圧巻です。川の流れる音と鳥のさえずりだけが聞こえる静かな空間で、心が洗われるような気持ちになります。歩きやすい靴で訪れることをおすすめします。
3. 道の駅水紀行館:お土産探しに最適
水上駅から徒歩3分の場所にある道の駅水紀行館は、お土産を買うのに便利なスポットです。地元の特産品が豊富に揃っています。
館内には群馬県産の農産物直売所があり、新鮮な野菜や果物が並んでいます。リンゴやブルーベリーなど、季節ごとに旬の味覚が手に入るのです。
| お土産 | 特徴 | 価格帯 |
|---|---|---|
| みなかみ産リンゴ | 甘みと酸味のバランスが良い | 500円〜 |
| 水上温泉まんじゅう | 老舗和菓子店の定番商品 | 800円〜 |
| 群馬の地酒 | 利根川の伏流水で仕込んだ日本酒 | 1,500円〜 |
| こんにゃく製品 | 刺身こんにゃくやこんにゃくゼリー | 300円〜 |
2階には無料の足湯コーナーもあります。買い物の前後に立ち寄って、旅の疲れを癒してみてはいかがでしょうか。
4. 谷川岳ロープウェイ:大自然を満喫
水上温泉から車で約25分の場所にある谷川岳ロープウェイは、標高1,319mの天神平まで一気に登れる観光スポットです。
ロープウェイからの眺めは圧巻で、眼下に広がる山々の景色を楽しめます。天神平駅に到着すると、そこは別世界のような高山植物の宝庫です。
夏は高山植物のお花畑を散策でき、冬はスキーやスノーボードが楽しめます。秋の紅葉シーズンには、山全体が赤や黄色に染まる絶景が広がるのです。往復のチケットは大人2,100円で、所要時間は片道約10分です。時間に余裕があればぜひ訪れてみてください。
水上温泉へのアクセスと訪れる際のポイント
水上温泉への行き方と、訪れる際に知っておきたい情報をまとめました。事前に確認しておくと、よりスムーズに楽しめます。
1. 電車でのアクセス方法
東京方面からは上越新幹線とJR上越線を乗り継ぐルートが便利です。新幹線を使えば約2時間で到着します。
上越新幹線で東京駅から上毛高原駅まで約1時間15分です。上毛高原駅からは路線バスで水上温泉まで約25分かかります。バスは1時間に1本程度の運行です。
もう一つの方法は、高崎駅でJR上越線に乗り換える方法です。高崎駅から水上駅までは普通列車で約1時間10分、特急草津号を使えば約50分で到着します。こちらの方が乗り換えが少なくて楽かもしれませんね。
2. 車でのアクセスと駐車場情報
車で訪れる場合は、関越自動車道の水上ICで降りるのが最寄りです。インターから温泉街までは約5分とアクセス抜群です。
東京からは関越自動車道経由で約2時間、練馬ICから水上ICまでの距離は約120kmです。週末や連休は渋滞することもあるので、時間に余裕を持って出発することをおすすめします。
| 出発地 | 所要時間 | 高速料金(普通車) |
|---|---|---|
| 東京(練馬IC) | 約2時間 | 3,270円 |
| 埼玉(川口JCT) | 約1時間40分 | 2,950円 |
| 新潟(湯沢IC) | 約40分 | 1,100円 |
各旅館には専用駐車場が用意されていることが多いです。事前に確認しておくと安心ですよね。
3. 日帰り温泉の利用も可能
宿泊しなくても、日帰り入浴を受け付けている施設がいくつかあります。ドライブの途中に立ち寄るのも良いでしょう。
多くの旅館では11時から15時頃まで日帰り入浴を受け付けています。料金は800円から1,500円程度で、タオルは持参するか別途購入が必要です。
混雑する時間帯を避けたいなら、平日の午後がおすすめです。週末や祝日は宿泊客優先になる場合もあるので、事前に電話で確認しておくと確実ですよ。
4. 訪れるのにおすすめの季節
水上温泉は四季折々の魅力がありますが、特におすすめなのは秋です。10月下旬から11月上旬の紅葉シーズンは、山々が美しく色づいて見事な景色が広がります。
春は新緑が美しく、気温も過ごしやすい季節です。5月から6月にかけては、高山植物も咲き始めます。夏はラフティングなどのアクティビティが最盛期を迎えるのです。
冬は雪景色と温泉の組み合わせが最高です。スキーやスノーボードを楽しんだ後の温泉は格別ですよね。ただし雪道の運転には注意が必要なので、冬用タイヤの装着を忘れずに。
まとめ
水上温泉は確かに「やばい」と言われる面もありますが、それは決してマイナスだけではありません。昭和の面影を残す風景には独特の魅力があり、今も営業している宿では心温まるおもてなしを受けられます。
そして何より、再生に向けた新しい動きが生まれているのです。若い世代が移住して新しい宿を開いたり、アウトドアアクティビティとの連携が進んだりと、温泉街に少しずつ変化が訪れています。
諏訪峡の自然美や谷川岳の雄大な景色も、水上温泉ならではの魅力です。東京から2時間程度でアクセスできる立地も便利ですよね。次の週末、ちょっと足を延ばして水上温泉を訪れてみませんか。きっと新しい発見があるはずです。
