ポルトガルへの旅行を計画しているけれど、治安面が心配という方は多いのではないでしょうか。特にリスボンを一人で訪れる場合、どんなリスクがあるのか気になりますよね。
結論から言うと、ポルトガルはヨーロッパの中では比較的安全な国です。ただし観光地では軽犯罪が増えているため、油断は禁物ですね。この記事では、リスボンで注意すべきエリアや具体的な被害パターン、そして実践的な防犯対策まで詳しく紹介します。事前に知っておくだけで、安心して旅を楽しめるはずです。
ポルトガル全体の治安状況
ポルトガルは西ヨーロッパに位置する国で、観光大国としても知られています。治安について正しく理解しておくと、旅の不安も減るでしょう。
1. ヨーロッパの中では比較的安全な国
ポルトガルは世界平和度指数でも上位にランクインしている国です。凶悪犯罪の発生率は低く、街を歩いていて身の危険を感じる場面はほとんどありません。
現地の人たちも親切で、道に迷った時など気軽に助けてくれることが多いですね。夜でも賑わっているエリアなら、女性が一人で歩いていても特別危険というわけではないでしょう。ただし「安全だから何も対策しなくていい」というわけではありません。
他のヨーロッパ諸国と比べると、フランスやイタリアの主要都市よりも治安は良いと言えます。実際に訪れた旅行者の多くが「思ったより安全だった」という感想を持つようです。
2. 近年増加している観光客を狙った犯罪
安全な国とはいえ、観光客を狙ったスリや置き引きは確実に増えています。特に2019年以降、リスボンへの観光客数が急増したことで、こうした犯罪も比例して増加しました。
狙われるのは主に観光地や公共交通機関です。犯人たちは観光客の特徴をよく理解していて、大きなカメラを首から下げている人や地図を広げている人を見つけると近づいてきます。彼らにとって観光客は「無防備で現金を持っている」存在なのです。
コロナ禍明けからは特に注意が必要ですね。経済的に厳しい状況の人が増えたことで、軽犯罪の件数も上昇傾向にあります。
3. 凶悪犯罪は少ないが軽犯罪には要注意
ポルトガルで遭遇する可能性が高いのは、スリ、置き引き、ひったくりといった軽犯罪です。強盗や暴行事件は非常に稀ですが、財布やスマートフォンを盗まれる被害は日常的に発生しています。
犯人は複数人で組織的に動いていることが多く、一人が注意を引いている間に別の人が荷物を盗むという手口が典型的です。観光に夢中になっている瞬間が最も危ないタイミングですね。
被害に遭っても命に関わることはほとんどありません。ただし旅行が台無しになる可能性はあるので、基本的な防犯意識は常に持っておきたいところです。
リスボンで特に注意が必要なエリアとは?
リスボン市内でも場所によって治安状況は大きく変わります。事前に危険なエリアを知っておくことで、リスクを減らせるでしょう。
1. バイシャ地区:観光の中心地だからこそ狙われやすい
バイシャ地区はリスボン観光の拠点となる場所で、多くの旅行者が訪れます。コメルシオ広場やアウグスタ通りなど見どころも集中していますが、それだけに犯罪も多発しているエリアです。
特に混雑している時間帯は要注意ですね。人混みに紛れてバッグのファスナーを開けられたり、ポケットから財布を抜き取られたりする被害が後を絶ちません。レストランのテラス席で食事中にテーブル上のスマートフォンを盗まれるケースも頻発しています。
このエリアを歩く時は、常に荷物を体の前に抱えるくらいの意識が必要です。観光に集中しすぎて周囲への注意がおろそかになりがちですが、美しい建物を見上げている瞬間こそ危ないのです。
2. ロシオ駅・サンタアポローニア駅周辺の状況
駅周辺は旅行者が必ず通る場所ですが、同時に犯罪者も集まりやすいスポットです。ロシオ駅は中心部へのアクセスが便利な一方、夜間は人通りが減って雰囲気が変わります。
サンタアポローニア駅も同様で、早朝や深夜の時間帯は避けたほうが無難でしょう。荷物を持った旅行者は「これから移動する」または「今到着したばかり」ということが一目瞭然なので、狙われやすくなります。
駅構内では特にエスカレーターやチケット販売機の周辺に注意してください。切符を買うのに夢中になっている瞬間に足元のバッグを持ち去られる被害が多いのです。
3. ベレン地区の観光スポット付近
ジェロニモス修道院やベレンの塔がある観光エリアも油断できません。ここは観光客が記念撮影に夢中になる場所なので、その隙を狙った犯罪が起きやすいですね。
有名なエッグタルトの店「パスティス・デ・ベレン」の周辺も混雑するため、スリが活動しやすい環境です。甘いお菓子を楽しんでいる時でも、荷物からは目を離さないようにしましょう。
このエリアは日中でも観光客で溢れかえっているので、「人が多いから安全」とは限りません。むしろ人混みこそが犯罪者にとって好都合な状況なのです。
4. アルファマ地区の夜間は避けたほうがいい理由
アルファマ地区は古い町並みが魅力的で、ファド音楽を楽しめるレストランも多くあります。昼間は観光客で賑わう素敵なエリアですが、夜になると様子が変わります。
細く入り組んだ路地が多く、街灯も少ないため夜間の一人歩きは危険です。地元の人でも夜遅くには人通りの少ない道を避ける傾向があります。ファドを聴きに行く場合は、帰り道のルートを事前に確認しておくか、タクシーを利用するのが賢明でしょう。
坂道や階段が多いエリアなので、足元に気を取られている間に後ろから近づかれるリスクもあります。雰囲気は最高ですが、防犯意識も忘れずに持っていたいですね。
リスボン一人旅でよくある被害パターン
実際にどんな手口で被害に遭うのか知っておくと、対策も立てやすくなります。ここでは典型的なパターンを紹介しますね。
1. トラム28番線でのスリ被害が多発する理由
トラム28番線はリスボン観光の定番ルートです。アルファマ地区やグラサ地区を通る黄色い路面電車で、観光客なら誰もが乗りたくなる人気の路線ですね。
しかしこのトラムは常に混雑していて、体が密着するほど人が詰め込まれます。この状況が犯罪者にとって絶好のチャンスなのです。乗車時の混乱に紛れてバッグを開けられたり、降車する時に押されたふりをしてポケットから財布を抜き取られたりします。
トラム内では必ずバッグを体の前に持ち、ファスナーに手を添えておくくらいの警戒が必要です。景色を楽しみたい気持ちはわかりますが、荷物への意識も同時に保ちましょう。
2. レストランやカフェでのテーブル置き引き
リスボンには素敵なカフェやレストランがたくさんあります。特にテラス席で過ごす時間は旅の醍醐味ですよね。でもここにも危険が潜んでいるのです。
テーブルの上にスマートフォンや財布を置いたまま、メニューを見たり写真を撮ったりしていると、一瞬の隙に持ち去られます。犯人はバイクや自転車で近づいて、さっと掴んで逃げていくパターンが多いですね。
椅子の背もたれにバッグを掛けるのも危険です。後ろから簡単に取られてしまいます。カフェでくつろいでいる時でも、貴重品は常に膝の上や足元に置いて管理するのが基本でしょう。
3. 親切を装った声かけからの詐欺
「写真を撮ってあげましょうか?」「道案内しますよ」といった親切な申し出に注意が必要です。もちろん本当に親切な人もいますが、中には悪意を持った人も混じっています。
典型的な手口は、一人が話しかけて注意を引いている間に、仲間が荷物を盗むというものです。また「この近くでお祭りがあるよ」と誘導して、人気のない場所で金品を要求されるケースもあります。
知らない人から声をかけられた時は、まず荷物を確認する癖をつけておきましょう。断ることに罪悪感を感じる必要はありません。旅行中は自分の安全が最優先ですね。
4. 両替所やATM利用時の盗難
空港や駅の両替所、ATMの周辺も注意が必要なスポットです。お金を扱っている時は無防備になりがちで、その様子を遠くから観察している人がいるかもしれません。
ATMで現金を引き出した直後に後をつけられて、人気のない場所でひったくりに遭うケースもあります。また暗証番号を入力している時に、背後から覗き見されていることもあるでしょう。
以下の点に注意してATMを利用しましょう。
- 明るく人通りの多い場所にあるATMを選ぶ
- 暗証番号入力時は手で隠す
- 現金を受け取ったらすぐにバッグの奥にしまう
- 周囲に不審な人がいないか確認してから利用する
銀行の中にあるATMなら比較的安全です。少し手間でも、安全性を優先して選びたいですね。
女性の一人旅で気をつけたいポイント
女性が一人でリスボンを訪れる場合、男性以上に注意すべき点があります。基本的な対策を知っておくだけで、安心感が全く違ってくるでしょう。
1. 夜間の一人歩きは避けるべきエリア
リスボンの夜は美しくて魅力的ですが、女性の一人歩きには向かない場所もあります。バイロ・アルト地区は夜になるとバーやクラブで賑わいますが、酔った人も多く絡まれる可能性があるでしょう。
マルティン・モニス広場周辺も夜間は避けたほうが無難です。このエリアは移民が多く集まる場所で、昼間は問題ありませんが、夜になると雰囲気が変わります。
もし夜に外出する必要がある場合は、以下を心がけましょう。
- 大通りを選んで歩く
- 人通りの多いルートを事前に確認しておく
- イヤホンをつけて音楽を聴きながら歩かない
- スマートフォンを見ながら歩かない
夜景を楽しみたい気持ちはわかりますが、ホテルの屋上バーやレストランのテラスなど、安全な場所から眺めるのがおすすめです。
2. 宿泊先選びで重視すべき立地条件
ホテルやホステルの立地は非常に重要です。安さだけで選ぶと、治安の悪いエリアに泊まることになるかもしれません。
バイシャ地区やシアード地区は中心部で便利ですが、夜遅くまで人通りがあるので比較的安心です。逆にインテンデンテ周辺は宿泊施設が安い一方、夜間の治安に不安があります。
| 選ぶ基準 | 理由 |
|---|---|
| 主要駅や観光地から徒歩圏内 | 夜遅い移動を避けられる |
| 24時間受付のある宿 | 緊急時に対応してもらえる |
| 周辺にレストランやカフェが複数ある | 人通りが多く安全 |
| 口コミで治安への言及がある | 実際の安全性が分かる |
部屋のセキュリティも確認しておきましょう。ドアの鍵がしっかりしているか、窓の防犯対策はどうかなど、細かい点もチェックしておくと安心ですね。
3. 現地の人が避ける時間帯や場所
地元の人の行動パターンを観察すると、危険な時間帯や場所が見えてきます。例えば平日の昼間に女性が一人で歩いていないエリアは、何か理由があるはずです。
深夜0時を過ぎると、メトロの駅周辺に怪しい人が集まりやすくなります。現地の女性たちも夜遅くには一人で地下鉄を利用せず、タクシーやUberを選ぶ傾向があるでしょう。
また日曜日の午前中は多くの店が閉まっていて、普段賑わっている通りもガランとしています。人気がない時間帯は犯罪のリスクが高まるので、観光スケジュールを組む時にも意識したいですね。
4. タクシーやUber利用時の注意点
夜の移動にはタクシーやUberが便利ですが、ここにも注意点があります。正規のタクシーは白地に緑のラインが入った車体で、メーター制です。
空港やホテルの前で待っている無許可のタクシーには乗らないようにしましょう。相場の2〜3倍の料金を請求されることがあります。
Uberを使う場合のポイントは以下の通りです。
- 乗車前に車のナンバーとドライバーの顔を確認する
- 後部座席に座る
- 到着地を事前にアプリで設定しておく
- 友人や家族に移動中であることを伝えておく
短い距離でも夜間は歩かずにタクシーを使う選択は賢明です。安全にはお金を惜しまないという考え方も大切ですね。
実際に役立つ防犯対策
具体的な対策を知っておくと、いざという時に慌てずに済みます。ここでは実践的な方法を紹介しましょう。
1. 貴重品の持ち歩き方とバッグ選び
バッグ選びは防犯の基本中の基本です。リスボンを歩く時は、以下のようなバッグが適しています。
| バッグの種類 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 斜め掛けショルダーバッグ | 体の前で持てる、両手が空く | 長時間だと肩が疲れる |
| セキュリティポーチ(服の下) | 最も安全、スリ対策に最適 | 出し入れに手間がかかる |
| 小さめのリュック | 両手が空く、荷物が入る | 後ろからファスナーを開けられやすい |
リュックを使う場合は、混雑した場所では必ず体の前に抱えましょう。ファスナーに小さな南京錠をつけるのも効果的です。
パスポートやクレジットカードは、セキュリティポーチに入れて服の下に隠すのが一番安全ですね。財布は必要最低限の現金だけ入れて、万が一盗まれても被害が少なくなるようにしておきます。
2. スマートフォンやカメラの扱い方
スマートフォンは旅行中の必需品ですが、盗難のターゲットにもなりやすいアイテムです。道を調べる時や写真を撮る時、ついつい無防備になってしまいますよね。
歩きながらのスマホ操作は避けましょう。立ち止まって壁を背にした状態で使うのが基本です。カフェやレストランではテーブルの上に置かず、必ずバッグにしまうか手に持ったままにします。
カメラを首から下げて歩くのも避けたい行動です。「私は観光客です」と宣伝しているようなものですね。カメラはバッグの中に入れて、撮影する時だけ取り出す習慣をつけましょう。
ストラップをつけておくと、ひったくりに遭った時に手から離れにくくなります。ただし無理に抵抗すると怪我をする可能性があるので、その点は注意が必要です。
3. 現金とカードの分散管理
「卵を一つの籠に入れるな」という格言は、旅行の防犯にも当てはまります。すべての現金とカードを一か所にまとめておくと、盗まれた時に身動きが取れなくなってしまうでしょう。
具体的な分散方法は以下の通りです。
- メインの財布:その日使う分の現金とクレジットカード1枚
- セキュリティポーチ:予備のクレジットカードと多めの現金
- ホテルのセーフティボックス:パスポートのコピー、予備のカード、大きな額の現金
万が一財布を盗まれても、ホテルに戻れば予備のカードがあると思えば安心ですよね。パスポートの原本は基本的にホテルに置いておき、コピーを持ち歩くのが賢明です。
クレジットカードの番号や緊急連絡先は、スマートフォンのメモ機能に保存しておくと便利でしょう。ただしパスワードをかけて、他人に見られないようにしておく必要があります。
4. ホテルでのセキュリティ対策
外出中の防犯だけでなく、ホテルでの対策も重要です。チェックイン時から注意すべき点がいくつかあります。
まずホテルのスタッフ以外に部屋番号を知られないようにしましょう。フロントで部屋番号を告げられる時は、小さな声で言ってもらうようお願いします。エレベーターや廊下で他の宿泊客と一緒になった時も、部屋番号が分からないように注意が必要ですね。
部屋に入ったら、まずドアの鍵やチェーンが機能するか確認します。窓の鍵もチェックして、低層階の場合は特に気をつけましょう。
貴重品はセーフティボックスに預けるのが基本です。ホテルによっては部屋にセーフティボックスがある場合もありますが、フロントに預けたほうが安全な場合もあります。
外出時は「Do Not Disturb(起こさないでください)」の札をかけておくと、部屋に人がいるように見せかけられます。完全に空室だと分かると、泥棒に狙われやすくなるでしょう。
おわりに
リスボンは魅力的な街で、基本的な防犯意識さえ持っていれば十分楽しめる場所です。過度に怖がる必要はありませんが、「自分は大丈夫」という油断も禁物ですね。
実際のところ、多くの旅行者が何事もなく素晴らしい時間を過ごしています。事前に危険なエリアや典型的な手口を知っておくだけで、リスクは大きく減らせるでしょう。
ポルトガルには他にもポルトやシントラなど、訪れる価値のある都市がたくさんあります。リスボンでの滞在を安全に楽しんだ後は、ぜひ足を伸ばしてみてください。各地で異なる魅力に出会えるはずです。
